LEGO連合王国軍を構成する王立海軍、苓国陸軍、王立空軍は、それぞれ様々な規模の部隊によって編制されています。更に、各部隊内にはいくつかの役職があり、全ての将兵には役職に応じた階級が与えられています。
本記事では、LEGO連合王国軍の部隊規模と階級の設定基準について、解説していきます。

階級設定と軍編制の変遷

軍隊の組織化
LEGO連合王国の軍隊に階級設定が作られ始めたのは、本ブログの記事「設定の変遷」シリーズの第2部で語られる第一次LEGO連合王国の時代でした。
この頃のLEGO連合王国軍は、軍服の統一が殆ど行われておらず、お城シリーズや南海の勇者シリーズのミニフィグがそのまま将兵として所属していました。軍人となった各シリーズの主要ミニフィグの多くは、部隊長や艦長といった重要な役職に任命されていました。
そして、軍隊にはどういった部隊や役職があるのか、各役職にはどういった階級の軍人が就くのか、といった軍隊の組織を詳しく調べていく内に、LEGO連合王国軍の編制は徐々に高度化していきました。特に重要視されたのが、階級と役職をなるべく現実と一致させることでした。そして、階級と部隊を出来るだけ多段階化しつつ、上の階級ほど人数が減るピラミッド型の軍隊を作り上げることが目標となりました。

編制の高度化
第一次LEGO連合王国時代の軍編制は、書籍やインターネットで比較的容易に調べることの出来た自衛隊を参考にしてしていました。
しかし、「設定の変遷」シリーズの第3部で語られる第二次LEGO連合王国となってからは、国家設定と共に軍隊もイギリス軍をモデルに再編されます。また、レゴ国際連合で活動する際に世界各地での有事に対応できるよう、アメリカ軍の戦略や編制についても学び、LEGO連合王国軍再編の際に参考としました。
英軍や米軍から取り入れた概念の中で特に重要となったのが、フォースプロバイダーとフォースユーザーの分離でした。これは、部隊の整備や人事などを担当する管理部門と、部隊を運用して任務を遂行する作戦部門の指揮系統を別々に編制する、というものです。
指揮系統を管理系と作戦系に分離させる利点は、兵科や艦種、基地といった平時の訓練や人事に適した単位の管理編制から、有事の際には状況に応じて、様々な戦力を組み合わせた作戦部隊を編成できることです。また、指揮官の責任の範囲が明確化されることから、有事に作戦を指揮する司令官の判断に、平時の組織内力学を考慮した不合理な内容が含まれるリスクが低下します。

陸上部隊の編制基準

陸軍を代表とする地上部隊は、最も多様で複雑な編制が見られる軍種です。
苓国陸軍で最も小規模な部隊は分隊で、2〜4名で編制されています。現実での分隊は、兵卒から昇進を重ねた現場のベテラン、下士官を長とする部隊です。これは、陸軍にとって必須な部隊であると考えられた為、苓国陸軍でも最も基礎的な部隊として採用されました。そして、下士官の下に2名の兵卒という最小のピラミッド構造を作れる3名が、分隊の基本人数となりました。
次に小規模な部隊が中隊で、主に2個分隊の5〜8名程度で編制されています。中隊長を務める代表的な階級である陸軍大尉は英語でキャプテン、つまり隊長の代名詞です。何故なら、近世から近代初期における中隊は歩兵戦闘の基本単位であり、現在でも中隊は各兵科の主要な戦術単位となっているからです。
苓国陸軍は小隊抜きで編制されていますが、それは中隊が、陸軍編制の基準となる部隊であると考えられた為です。
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サムライズ隊は部隊管理では歩兵師団のイースティッシュ連隊に所属し、
作戦指揮では第2歩兵旅団の歩兵大隊に所属する中隊である

中隊の次に大きな部隊が大隊や連隊で、構成部隊は様々ですが大隊が9〜18名程度、連隊が15〜25名程度で編制されています。
連隊は管理専門の部隊で、これはイギリス陸軍に倣ったものです。本格的な近代戦が始まるまで平時の最大部隊だった連隊は、現在でも管理部隊としてその伝統を受け継いでいます。特に歩兵連隊は募兵地域ごとに編制されており、これはかつての貴族が自領地の領民達から連隊を組織していたことに由来します。
大隊や連隊以下の部隊は、基本的に単一兵科で編制されています。諸兵科連合を形成する大規模な部隊としては師団や旅団があり、旅団は定員30名前後、師団は定員50名前後で編制されています。師団には、歩兵連隊を統括する管理部隊も存在します。

艦艇の編制基準

海洋を活動の場とする海軍は、水域を航行できる船、即ち艦艇を基本単位として編制されています。
海軍においてキャプテンと呼称される階級は、陸軍とは違って大佐です。海軍大佐は主力艦の艦長に任命される階級であり、これも海軍編制の基準が艦艇であることを示唆しています。
王立海軍において主力艦と扱われているのは、航空母艦とドック型輸送揚陸艦といった任務部隊の旗艦機能を持つ艦です。駆逐艦や潜水艦は主力艦とはされず、艦長となっているのは中佐または少佐で、この分類もイギリス海軍を含む現実の海軍に倣ったものです。
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15型駆逐艦の1番艦ストロベリーの艦内編制

軍艦の艦内編制は、艦長の下に航海科や機関科といった各科があり、その長は下士官が務めています。現実の軍艦では、各科長は尉官などの士官である為、ここでは役職と階級の一致が成されていません。これは、軍艦のスケールが現実の1/200と小さい為、各科に水兵から士官までを含む規模の人員を配置できないことが理由です。
しかしここで、最も標準的な軍艦である15型駆逐艦と、最も基本的な地上部隊である歩兵中隊の人数を比較してみたいと思います。15型駆逐艦(バッチ1)の乗員は11名、標準的な歩兵中隊の定員は7名、これらは海軍編制と陸軍編制において基準となる人数です。これを現実の軍隊と比較してみると、15型駆逐艦のモデルとなったアーレイ・バーク級駆逐艦(フライトI)の乗員が323名で、15型駆逐艦の乗員数の約29倍です。また、一般的な歩兵中隊の定員は200名で、これも苓国陸軍の中隊定員の約29倍です。
これは王立海軍の艦内編制が、階級と役職が現実とは一致しないものの、部隊の縮小率が陸軍と同スケールになっていることを示しています。つまり、苓国陸軍の編制から小隊を抜いたのと同様に、より重要と考えた部分を強調し、そうでない部分を省略するデフォルメを行った結果、先述のような艦内編制となったことを意味します。
複数の艦艇を統括する部隊には、部隊管理においては艦種毎に編制される艦隊が、作戦指揮においては目的毎に編制される任務部隊があります。

航空部隊の編制基準

1機の航空機が1個のユニットとなる航空部隊では、高度な教育を受けた士官が軍用機のパイロットとなります。航空機のパイロットは1名から2名であることから、航空部隊の編制は陸海に比べてシンプルなものとなります。
航空編制の基本単位は飛行隊で、これは現実の空軍においては同一機種によって編制される基本的な航空機部隊となります。王立空軍や陸海軍の航空隊では、飛行隊が部隊として成立する最小単位となるよう、単座機2機もしくは複座機1機という2名のパイロットで編制されています。ただし、複数機を配備することが困難な大型機では、単座であっても1機で1個飛行隊とするなど、例外も存在します。
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王立空軍の第1戦闘飛行隊は、ハイ・ウィングム空軍基地に配備されており、
作戦編制においては第1航空群から指揮を受ける

王立空軍の部隊管理は飛行隊の所属する基地単位で行われており、作戦指揮では飛行隊が種別毎に統括され、幾つかの航空群が編制されています。

終わりに

本記事では、LEGO連合王国軍の組織がどのように形成され、その編制や階級がどのような基準で設定されているかを紹介してきました。
LEGO連合王国軍は、ここで書かれている基準に沿って整備されてきた為、その編制の意図を細部まで読み解くには、本記事が役に立つと思われます。